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放課後英語教室で、電子辞書を活用! 小学校の英語教育における町田市の取り組みとは

東京都の中でもいち早く、小学校の英語教育を充実させてきた町田市。その先進的な取り組みとして、2018年度から本格始動されたのが「放課後英語教室」である。どのような授業を実施し、どのような学習効果が見られるのか。町田市教育委員会の奥田氏と、放課後英語教室の講師・三浦氏に話を伺った。

放課後英語教室 講師 
三浦友子氏(左)
町田市教育委員会 指導主事 
奥田奈緒子氏(右)


町田市が、小学校の英語教育に注力している理由は何でしょうか?

奥田氏: 「町田市は、子育て世代の流入数が全国でもトップクラスです。さらに多くのファミリーから選ばれる市にするため、子どもたちに特別な英語教育を提供できる環境づくりに取り組んでいます。市内の小学校では、ALT(外国語指導助手)に入っていただく時間を拡充。2018年度のALT配置時間は、昨年度と比べて約2倍に増やしました。

英語の授業以外でも、ALTと子どもたちがコミュニケーションを取る機会を積極的に作っています。例えば、音楽の授業ではALTと共に英語で歌い、給食の時間には一緒におしゃべりをしながらご飯を食べる。休み時間にも、ALTには子どもたちと一緒に遊んでいただいています。『Do you like soccer?』など授業中に習ったフレーズを、日常会話の中で活かせる環境。それが、授業で学んだ英語を定着させるために必要なことだと考えています」

放課後英語教室を始めた経緯を教えてください。

奥田氏: 「2016年度から2年間、町田市は東京都の英語教育推進地域に指定されました。この英語教育推進地域事業の一環として、市内の小学校3校で放課後英語教室を試行。そして今年度、実施校を16校に増やして本格的にスタートさせました。放課後英語教室は都内でも初めての試みで、しかも無料で英語教育を提供しているため、保護者の皆様から非常に好評です。1クラスの定員を16名としていますが、抽選になる学校もあるほどです。

放課後英語教室のカリキュラムは、長らく英語のカリキュラム開発に取り組んでいらっしゃる玉川大学の佐藤久美子教授に作成を依頼。また授業は、J-SHINE(小学校英語指導者資格)を取得している講師陣に担当していただいています」

放課後英語教室では、何を目指しているのでしょうか?

奥田氏: 「2020年に新学習指導要領が全面実施され、5・6年生だけでなく、3年生から英語教育を行うようになります。そこで、低学年のうちから英語に親しめるよう、2年生から5年生の学年ごとにクラスを設け、それぞれ全16回の授業を行っています。

いずれの学年でも、子どもたちが自分のことを英語で発信できるようになることを目指しています。『自分の英語が通じた』という喜びから『もっと英語を勉強したい』という意欲が生まれ、英語力の向上につながるはず。そのため、勉強するというスタンスではなく、コミュニケーションツールとしての英語を楽しみ、親しむことを大切にしています。コミュニケーション能力を育むことは、英語以外の様々な教科にもプラスに働くことでしょう」


放課後英語教室では、どのような授業を行っていますか?

三浦氏: 「授業内容は学習指導要領に準拠しています。その上で、とにかく英語をたくさん聴かせるようにしています。英語学習は積み重ねが大事ですが、小学生はいろいろな単語が出てくると混乱してしまうので、同じ単語を何度も繰り返します。 

例えば、毎回の授業の始めに行うのが、英語で歌いながらするダンス。歌詞は毎回変わらないので、3回目くらいになると全員が英語を発音しながら踊れるようになります。また、イラストやスペリングを大画面テレビに映して、講師の発音や電子辞書の音声機能で発音を聴きながら単語を繰り返し発音します」

学年によって、授業内容は異なりますか?

三浦氏: 「はい、各学年に合った授業内容にしています。例えば、4年生になると文字指導が始まります。学習指導要領で求められているのは、自分の言葉で書くことではなく、決まった単語を見て書き写すこと。そこで、その日に学んだ単語のスペリングを、授業の終わりにワークシートに書き写す学習を取り入れています。何を表す単語か分からないまま書いても覚えづらいので、絵を見て、音を聴いて、発声練習をした後に単語を書くようにしています」

子供たちの反応や学習効果はいかがですか?

三浦氏:「授業はオールイングリッシュで行っていますが、初めは驚いていた子どもたちもすぐに慣れてしまいます。私が英語で質問しても、英語で答えてくれるようになります。小学生は英語の発音を聞き取る力が高いので、聞いた音をそのままコピーします。そのため、発音がとてもきれいです。全16回のうちに、子どもたちの英語力は驚くほど向上します」


授業では、どのような学習ツールを使っていますか?

三浦氏:「放課後英語教室では、主にパワーポイント資料を使って進めています。例えば、"short"と"long"、"heavy"と"light"といった『対になる言葉』や、"English"や"science"といった『教科を表す言葉』など。イラスト付きでまとめた資料を大画面テレビに投映し、講師の後に続いて発音練習をしています。
また、電子辞書や音声ペン等の音声ツールも活用しています。カシオの『EX-word』には『オックスフォード・リーディング・ツリー』が収録されているので、今日の授業では、その『G g』というコンテンツを利用しました。『G』の付く単語を音声・イラスト付きで集めたもので、"gate"や"mug"などアルファベット3~4個程度の単語が多いので覚えやすいです」

電子辞書に入っている「オックスフォード・リーディング・ツリー」のコンテンツはいかがですか?

三浦氏:「丁寧に描かれたイラストと大きくて見やすい文字が一緒に表示されるので、その単語が何を意味しているのかが分かって良いですね。『G g』などアルファベット別の単語集の他にも、ショートストーリーに沿って英語が学べる『Fiction』など、たくさんのコンテンツが収録されています。ショートストーリーは子どもたちが飽きることなく、単語から文章まで幅広く英語に触れることができます」

小学生の英語教育に、電子辞書のどのような所が効果的だと思いますか?

三浦氏:「電子辞書の最大のメリットは、音声機能で英単語の発音を繰り返し聴けることではないでしょうか。英語を聞き取る力の高い小学生のうちに正しい発音をたくさん聴いておくと、中学校・高校に進んだ時にリスニング力が違ってくると思います。また、イラストやショートストーリーを楽しみながら『何となく聴く』ことができるので、子どもたちが英語に興味をもちやすくなると思います」

奥田氏:「小学校の学級担任の多くは、英語科指導法を深く学んできていません。研修などによって指導レベルは高まっていますが、正しい発音を教えるにはALTが欠かせないのが現状です。ALTの配置時間を増やしている町田市であっても、年間で70時間ある第5・6学年の外国語の授業のうち、ALTが入るのは50時間。常に子どもたちの近くにいられるわけではないのです。放課後英語教室では佐藤教授にお願いして、動画や電子辞書等で正しい発音を聴く機会を増やしていただいています」


おすすめしたい、電子辞書の活用方法はありますか?

三浦氏:「放課後英語教室では、電子辞書を大画面テレビに映し出して一斉学習に利用しています。くり返し英単語の発音を近くで正確に聴かせることもできます。

今日の授業では『オックスフォード・リーディング・ツリー』を大画面テレビに映してクラス全員で英単語の発音練習をした後、覚えた単語と発音をより正しく身に付けるために、音声機能を活用して発音練習をしました。全員で発音していた時は何となく言っている状態でも、グループ学習等で目の前に聴き手がいると正しい発音を意識します。子どもたちは自分が納得できるまで、正しいアクセントを繰り返し聴き、正しい発音ができるようになります」

家庭学習で意識することは、どのようなことですか?

奥田氏:「子どもたちのリスニング力は、英語を頻繁に聴くことで発達していきます。普段の学校での授業や週1回の放課後英語教室だけでなく、毎日の家庭学習でも様々なアプローチで英語に慣れていけば、英語の力が飛躍的に伸びることでしょう。そうすることで英語が好きな町田の子が増えてくれると嬉しいですね」

ありがとうございました。